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ごあいさつ

POPAI2023の開催に関して一言御挨拶申し上げます。

Imagingとphysiologyの分野では、2022年4月にISCHEMIA試験をうけて日本循環器学会 安定冠動脈疾患診断治療ガイドラインフォーカスアップデート版が発表されました。本ガイドラインにおいても虚血診断の重要性に関してはその中心におかれており、虚血にもとづいた治療血管の選択の重要性は否定されていません。

 ステント治療は、冠血管抵抗の低下をもたらし、運動負荷時の冠血流の増加を生じることにより、運動耐用能を改善することが実証されていますが、心血管インターベンションがプラークの安定化をもたらし心血管イベントを抑制する効果(プラークシーリング効果)は残念ながら実証できていません。またステントを留置することにより生じる“stent病“と称される負の側面が存在することも報告されています。しかし一方で強力な薬物療法がプラークの安定化や退縮をもたらすことも報告されています。冠動脈イメージングは将来の心事故の増加が懸念されるリスクの高いプラーク検出に有効です。CT、IVUS、OCT、OFDIなどのプラークイメージングは将来のイベントリスクの判定に有用であり、強力な薬物療法の導入の必要性を示してくれるものと思われます。現在、冠内圧の計測によりカテーテル検査室内において虚血の原因となりえるかどうかを正確に判定し、更にIVUSやOCTを用いて最適な血行再建(stent optimization)をすることが、患者様の予後改善につながる最も有効な方法であることが多くのエビデンスとして示されてきています。またPhysiologyは治療適応決定と治療効果の予測を行うことにその多くの役割が強調されてきましたが、一方でPCIの術中、術後にプレッシャーワイヤーを用いることにより、治療戦略の決定やエンドポイントの選択に利用できる可能性が模索されています。

ImagingにおいてもCT、血管造影,IVUS、OCTなどから得られる内腔情報から流体力学を駆使してFFRに匹敵する情報を模索する方向性が検討され、PhysiologyとimagingはますますFusionしていく様相を見せています。2018年12月よりFFRCTが、2020年12月よりFFRangioが保険診療として認可され、すでに多くの施設で利用されています。本会においてこれらのvirtual FFRの可能性、今後の方向性をさらに追求していく予定です。

 成熟したと考えられるPCIの分野において、複雑病変治療の成功は患者様の予後改善に大変重要です。この命題を遂行するにはカテーテル技術習得だけでは十分ではなく、PhysiologyとImagingの理解は必要不可欠といっても過言ではありません。

POPAI2023に2日間参加していただければ、physiologyとimagingに関しての最新情報を習得することができます。岐阜ハートセンターのスタッフ一同、皆様の御参加を心よりお待ち申し上げます。

松尾先生写真.png
PCI風景.png
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